第9話

そこで、摘まんだ鼻を離してやるとムックリとハイネが起き上がった。



サラサラのショートボブ。


この前無理矢理桂に切られた前髪は俺と同じアシンメトリー。



大きい猫瞳に小さなサクランボのような唇。



幼さを残す、可愛い女の子。俺より2つ下の15才。

高遠ハイネ(たかとお はいね)



ぼんやりまだ焦点の合わない猫瞳に俺が映りこむ。


この瞬間が俺はとても好きだ。



ハイネが朝一番に見るのが俺であることが。




「おはよう」



「おあよーごじゃぃやす。……八雲しゃん」

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