第8話

ひとたび寝てしまうと絶対起きないこの子は、毎度の朝の騒ぎにも安らかな寝息を立てて起きる気配さえ見せない。



ここに来たときは、うなされることも多かったけど。




「ハイネ」




名を呼ぶ。




「…んん…」




ぴょっこりと、艶やかな黒髪が布団から現れる。


もう一息。




「起きろ。ハイネ」



「~ん~っ。ふごっ?!」



竜ちゃんとはいえ、男を布団に入れたのだ。

お仕置きとして、鼻を摘まむ。



数秒もしない内にハイネの瞳がカッと見開いた。

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