色づく街角。

猫野 尻尾

第1話:まるで妖精のようなコスプレーヤー。

お試し投稿でございます〜。(=^x^=)


春夏冬 秋あきなし しゅう」女子高生、17歳。


秋はクラスでもダントツで可愛い・・・。

だから同級生の男子全員から・・・いや一人を除いて残りの男子全員から

告られている・・・だけどすべて「ごめんなさい」

と言うのも秋にはお目当の男子が一人いたからだ。


秋は可愛い上に持ってきて、ファンタジー系キャラのコスプレーヤーでもある。

普段の秋と違って、まるで妖精のようにコスプレってるその容姿はコミケか

コスプレイベントにでも行かないと会えない。

クラスでそれを知ってるのはごくわずか。


学校にバレるといけないのでインスタやXにはその容姿はアップされていない。


で、唯一秋に告ってない同級生男子って言うのが「明日 天気ぬくい てんき


この男だけが秋に告白していないと言う、実にもったいないことしてる男子。

天気は秋のことが好き以上に好きなんだけど、ただビビりで人見知りだから

本当は秋に想いを伝えたいのはやまやまなんだけど、その勇気がでないだけ。


告って断られたらどうしようとか・・・秋は自分より成績はこれも美貌と一緒で

ダントツで優秀、だから彼女と自分はバランスが取れないんじゃないかと遠慮して

たりする。


だから日々悶々としてるんだ・・・情けないって自分でも思っていた。

兄弟がいない天気は子供の頃から競うってことを経験してないから、秋を自分だけ

の彼女にしたいって思う独占欲とか闘争本能が欠落しているのだ。


そんなある日、天気は秋からコスプレイベントのチラシをもらった。


「興味もあったら幕張まて来てみない?」


好きな子からそんなこと言われたらコスプレイベントを見に行かない訳がない。

だから天気はイベントが開催される日に朝からウハウハで幕張に足を運んだ。


秋と約束してた訳じゃないから広いイベント会場で秋を探しすのは苦労した。

なんせ似たような格好のコスプレーヤーがたくさんいてなかなか見つけられない。


だから諦めて帰ろうとした時、後ろから誰かに呼び止められた。


明日ぬくいくん・・・来てくれたの?・・・」


そう言われた振り向くとまるで妖精みたいなエルフちゃんがそこに立っていた。


「え?・・・もしかして春夏冬あきなしさん?」


「そうだよ・・・」


天気は真近に秋を見て思った。


(わああああ・・・・か、か、か、可愛い)


ウィグを被ってカラコンして化粧して衣装を纏うと、もはやファンタジーの中の

キャラにしか見えない。

秋のエルフはダントツで可愛くて、ざっと見た限りでは他のコスプレーヤーの中

でも群を抜いてると思った。

エルフちゃんの秋はまじで、人間じゃなくて妖精そのものだった。


「あの春夏冬あきなしさん・・・僕と付き合ってくれませんか?」


って天気は思わず言ってしまいそうになった。

この場の雰囲気と言うんだろうか、妖精の秋の魅力に負そうって言うのか?

でも「僕と付き合って」と言う言葉は天気のクチからは出なかった。


周りには秋のエルフちゃんファンだっているし、カメコたちもたくさんいた。


明日ぬくいくん、誰かいい子いた?」


秋にそう言われた天気はそのまま、恐る恐る秋を指差した。


「え?私・・・そうなんだ・・・嬉しいな・・・明日ぬくいくん、まさか私に会いに来てくれたの?・・・」


「うん、チラシもらったし・・・コスプレも興味あったから・・・」


「ほんと?・・・まじでありがとう〜嬉しい〜」


秋がひとりの男の前で嬉しそうにキャッキャ騒ぐもんだから周りの人たちが

なにごとかと騒ぎ始めた。


その様子を見た秋。


「あ、ごめんね、明日ぬくいくん、ゆっくり話できないの・・・忙しいから、

ほんとごめん・・・あのイベント楽しんでね」

「また学校でね・・・じゃ〜ね」


秋のエルフちゃんはそう言ってファンやカメコに愛想を振りまきながら集団の

中に消えていった。


天気は自分の消極的な性格を呪った。

好きな人に好きって言えない・・・今日の秋を見て天気はますます秋が好きに

なった・・・秋に対する気持ちとエルフちゃんに対する気持ちが錯綜していた。


現実では制服姿の秋を・・・幻想の中では妖精のようなエルフちゃんの秋を・・・。


次の日、秋が天気のところにやって来て朝の挨拶と一緒にイベントに来て

くれたことへのお礼を言ってくれた。


「う、うん・・・あのすごくよかった・・・って言うか綺麗だったし可愛かった

し、って言うか・・・妖精みたいって言うか・・・とにかく春夏冬さん・・・

あの・・・好きって言うか?」


それだけ言うのが精一杯の天気、支離滅裂でどさくさに言った最後の言葉は

おそらく秋には聞こえなかっただろう。


「ありがとう・・・」


今がチャンスなんだけど、やっぱり天気は秋にはっきり好きだと言えなかった。

実は秋が唯一好きだって男子は、なにを隠そう天気だったんだけど・・・。


つづく。



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