第32話

優芽は中庭のテラスにいた。庭で摘んだ花をいけている優芽の顔は生き生きとしている。


「優芽さんは本当に花が好きなんだね。綺麗だね。花も優芽さんも。」


暖かい声が聞こえる。優芽はもう涙が溢れて止まらなかった。


「どうしてここに?もう燈馬先生の患者ではありません。私に構わないで下さい。」


燈馬に背を向けたまま精一杯強い口調で燈馬に告げた。


「優芽さんに会いに来たんだよ。優芽さんが誰よりも大切だから。もう二度と黙って居なくならないで。」


燈馬は優芽を優しく抱きしめた。優芽はもう拒むことが出来なかった。


「泣かないで。僕が傍にいるからね。これからずっと優芽さんと一緒に生きていきたい。


だから、何が優芽さんを苦しめているのか僕に全部話して欲しい。」


「私は燈馬先生にそんなに優しくしてもらう資格はありません。だからもう忘れて下さい。」


「優芽さんを忘れるなんて無理だよ。僕はもう君を離せない。だから諦めて。」


燈馬は優芽の涙を拭って優しくキスをした。


「お願いだから1人で悩まないで。どんな事があっても優芽さんの味方だから。


だから僕の傍で笑っていて。2人で幸せになろう

いつまでも一緒にいるからね。」

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