NO.11

第31話

琥珀は柔らかく微笑んでいる。


「燈馬先生も叶芽に茉白さんを託しましたよね。結局大切な人の幸せが一番なんです。


まあ僕の場合は少し違いますが、それは後で話しますね。」


燈馬は琥珀の顔を見ながら思い出していた。

哉芽を茉白の所へ向かわせた時の気持ちを。


「ありがとう琥珀さん。優芽さんの事が本当に大切なんですね。


僕も優芽さんが望むことなら何でも応えたいと思います。」


「燈馬先生は優しいですね。さあもうすぐ着きます。優芽さんが待ってます。」


2人の間に和やかな空気が流れた。眩しい光の中を走って行くと、不思議な風景が見えてくる。


まるで森の中に隠れているように洋館が立っていた。優芽があそこに居るのだ。


燈馬はもう一度息を大きく吐いた。こんなに緊張するのは初めてだった。


「大丈夫です。優芽さんは燈馬先生が好きですよ。僕が保証します。どうか幸せにして下さい


2人が幸せに暮らせるように、僕ができることはなんでもします。」


燈馬は顔が赤くなっていた。


「なんだか照れますね。いい歳して。でも嬉しいです。宜しくお願いします。」


2人は笑いあった。緑がとても綺麗だった。

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