第29話

燈馬は胸が苦しくなった。優芽はまだ救われていない。どうしたら彼女は幸せになれるのか。


「琥珀さん、彼女にあわせてください。彼女を救いたい。お願いします。」


「わかりました。では後ほどお迎えに上がります。すみませんが哉芽と茉白さんにはまだ話さないで下さい。」


「わかりました。学会で出かけると言っておきます。茉白の治療も他の医師に引き継いでおきます。」


「宜しくお願いします。では失礼します。」


電話を終えた燈馬は慌てて準備に走った。

哉芽と茉白には学会で暫く留守にすると伝えた。


「お仕事頑張ってね。無理だけはしないでね。

私の心配はしないでね。」


茉白が微笑んで送り出してくれたのは、もしかして全て知っているのかもしれない。


それでも今は優芽に会える事が一番大切だと思っている自分に驚いていた。


燈馬は自分の気持ちをハッキリと感じる事ができた。もう優芽しかいない。優芽だけが愛する人だと。

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