第27話

優芽は驚いて琥珀を見つめた。


「琥珀さん。どうしたの?いつもの琥珀さんじゃないみたい。」


琥珀は涙を隠したくて優芽を抱きしめたまま動けなかった。


「ごめんね。もう少しこのままで良いかな。後で訳をちゃんと話すから。」


「はい。わかりました。いつも琥珀さんに助けて貰っている御礼です」


「ありがとう。後少し甘えさせてね。何だか情けないけど、暖かいね。」


優芽は琥珀の背中をゆっくりさすっている。


「私で良ければ甘えて下さい。琥珀さんはいつも頑張りすぎです。」


「いつもカッコつけてるだけで、僕は弱くて臆病者だよ。弱みを見せないように必死に足掻いて誤魔化してばかりいるんだ。」


「琥珀さんは私の騎士ですよ。でもたまには弱い琥珀さんも見せて下さい。約束です」


琥珀は優芽から離れて空を見上げた。


「そうだね。僕が素直になったら、優芽さんも素直になってね。約束だよ。」


「はい。もう大丈夫です。これからは素直になろうと思います。ありがとう琥珀さん。」

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