第9話

朝になり優芽はあの人にメールをした。

あの人は直ぐにでも会いたいと言ってきたので

近くのCafeまで来てもらう事になった。


余程慌てて来たのだろう。汗だくで髪も乱れていた。


「大丈夫ですか。そんなに慌てるなんて。

いったい何があったのですが。」


優芽はなんだか泣きそうになっていた


あの人は水を飲み干して一息着くと、静かに語りだした。


「急にすまない。君にはいつも辛い思いばかりで。もう終わりにしたかったのだが、そうもいかなくてね。」


表情が暗い。やはり良くない話なのだ。


優芽は目眩を覚えた。また始まった。母の呪縛が。


「実は最近咲来の記憶が混濁してるんだ。

急に昔の事を思い出して混乱したり、紫耀さんや叶芽君のことを連れて来いと暴れたり。」


あの人はかなり疲れているようだった。


「虚言癖もあるから全て鵜呑みにはしなかったけど、最近何度もする話があって。」


優芽は耳を塞ぎたくなった。逃げ出したくてたまらない。

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