第9話

「菜穂?」


俺の後ろから大人びた声が聞こえた。


「竜ちゃん」


「バイトの休憩中で、せっかくだから菜穂の所でアイス買おうかと思って来たんだ」


ふと、花咲の方を見ると俺を見ている時とは違う嬉しそうな顔。


あぁ、コイツでもこういう顔すんのか。

そう思った。


「おすすめは?」


「えっとね、今月のおすすめフレーバーは、ハニーレモンだよ」


「じゃあそれで!」


竜ちゃんとか呼ばれていた人は俺を見る。


「えっと…菜穂の友達?」


「「はぁ!?」」


「俺は…「良く知らない人。昨日も来た」


「何かその言い方…俺がお前の事気になってる奴みたいじゃねぇか!」


「誰もそんな事言っていないんですけど。

はい、竜ちゃん」


「あ、支払い」


「いいよ。私が払っとくから」


「サンキュ。じゃあ俺バイト戻るな」


アイスを受け取って帰って行く竜ちゃんっていう人。

花咲は黙々とアイス代を自分の財布から出していた。

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