第6話

「いっただきまーす。美味しいー」


5人で楽しそうに食べてるし。

店長は嬉しそうに見てるし。


一旦カメラを止めて休憩中らしく、ファンに手を振っていた。


「やべ、落とした」


「玲央食べんの下手くそかよ」


「ま、いいか。いつでも食えるし」


その言葉を聞いた瞬間、私の中の何かが切れた。


「流石御曹司様は言う事が違うな」


「さっさと食ってロケ続けようぜ」


私は玲央とかいう人の前に立つ。


「え、何?握手とかサイン?」


私は先ほど彼が頼んだ物と同じアイスを渡す。


「食べ物。粗末にすんな坊ちゃんアイドル」


「は?何それ。すっげームカつくんだけど」


「それはこっちのセリフ。こっちはね、皆に美味しく食べてもらう為に用意してんのよ!

そんなに粗末にすんなら二度と食べんな!!」


私は彼が落としたアイスを掃除する。


「花咲さん…」


店長が慌てた様子で私の傍に来る。


「…店長すみません。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る