第33話

「じゃあ、これで」


千秋が選曲したのは、ここ最近放送しているテレビドラマの主題歌だった。


「この曲、結構好き」


「それは良かった

ここ最近テレビでやたら聞くから覚えた」


「耳に残るよね」


2人でクスクスと笑いながら話していたら、あっという間に頂上まで来ていた。


「柊くん、本当にありがとうね」


「何が?何かしたっけ」


「いっぱいしてくれた

きっと柊くんがいてくれなかったら、私はもっと莉多の事を引きずって前に進めなかったから…

だから、私と出会ってくれてありがとう」


「……」


あまりにも自然に話す紬は、夕日に照らされてとても綺麗で千秋は言葉を失っていた。


「柊くん?」


「いや、山本さんが綺麗だったから見とれてた」


「えっ!?な、え!?」


紬は紬で、サラリと照れる言葉を言われて動揺する。


「俺も山本さんと出会えて毎日が楽しいよ、

俺こそ出会ってくれてありがとう」


いつも以上に優しい声、表情に紬はドキッと胸がなった。そして、自覚してしまった。


-嘘から始まったのに、このままだと本当にに柊くんを好きになってしまう

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