第30話

「柊くん、ちょっと待って!」


スタスタと前を歩く千秋の手を強く引いて歩くのを止める紬。


「え?なに…」


千秋は急に手を引かれて驚きゆっくり紬の方を見る。


「どうしたの?」


「いや、別に…」


「……」


千秋は話そうとしなかったが、紬の真っ直ぐな目を見て無理だと諦める。


「少し、そこのベンチで話そうか」


2人は近くのベンチに腰を下ろす。


「俺さ、本当は知ってたんだ


山本さん達3人のこと」


「え?」


「いつも同じ時間に電車乗るし、3人仲良さそうだし…山本さんが1歩引いて嶋津くんを見ていたことも気づいてた」


「そうなんだ…」


紬はそんなに分かりやすかった自分が恥ずかしくて顔を手で覆う。


「だから、2人が付き合う事になったことで傷ついていた事にもわかった」


「それで私の事協力してくれてたんだ」

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