第28話

「あの、初めまして

紬の幼なじみの嶋津莉多です」


「あぁ。よろしく

柊千秋です」


莉多は自分と並ぶのが申し訳ない程チラチラと千秋を見ながら挨拶をする。


「なんで、今日来てくれたんですか?

柊さんにとって紬は何でもないでしょ?」


「…というと?」


「自分に好意を向けている気が無い相手と一緒に出掛けられるのは何でですか?」


千秋は、紬が莉多じぶんにずっと片思いしていた事なんてこの人は知らないんだろうなー。と思いながら深いため息をつく。


「少なくとも山本さんは俺にとって大切な人ではある」


「えっ!?そう…」


「それとも山本さんが取られるのが嫌とか思ったりする?」


「そういうんじゃなくて、俺にはまつりがいるし…ただ心配で、柊さんみたいなモテ男子は…」


莉多は頬をポリポリと掻きながらボソボソと喋る。


「ふーん、山本さんの心配してないで彼女さんの事を思ってやりなよ。中途半端な優しさは時には人を傷つけるから」

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