第26話

「悪いけど、この子俺の彼女だから」


安心する心地いい低い声を聞きながら腕の中に引き寄せられた紬。


「…柊くん」


「うわっ、顔面レベル桁違いだわ」


「すんません、すぐに消えますので…」


「「失礼しましたー!」」


紬に絡んでいた2人組は千秋を見て謝り走り去っていった。


「つーか、ここでナンパとかするなよな。

ね、山本さん」


「あの…」


「どうしたの?」


「私はいつまでこの状態なのでしょうか…」


ナンパがいなくなっても紬は、千秋の腕の中で硬直していた。


「あ、ごめん」


すぐに、千秋は離れるも紬の胸のドキドキは収まらないらしく、赤面したまま下を向く。


「そろそろ行こうか。

行ける?山本さん、」


「大丈夫」


紬の返答を聞くと千秋は、ゆっくりと改札口へと向かう。


「今度待ち合わせする時はもっと人が多いところの方が安全だな」


「今度?」


﹣今度なんてあるの?

と紬は思い思わず口にする。

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