第31話

「終わったー!」


会議が思ってたよりも押したからか、長くて疲れてしまった。


桜井さんに言われた通り先程取れなかった残り30分の休憩を休憩室で取る。


当たりを見渡すと誰もいない。

そりゃそうだ皆それぞれの部署で働いているんだから。


「はー…」


溜息をつきながらテーブルに手を乗せそのまま寝る。


「お疲れ」


頭に何か置かれてゆっくり顔を上げる。


「桜井さん!!」


「俺も少し休憩。久保がここに入ってくの見えたから」


「そうですか…というか今私の頭に何か乗せてましたよね?」


「ん」と言って渡されたのは、缶のココア。


「ありがとうございます…。

これ私の好きなやつ…」


「だと思った」


クスッと笑って私の前の席に座る。


「桜井さんは、コーヒーですか」


「頭がスッキリするしな。久保、飲めないだろ?コーヒー」


「え、飲めますよ!ミルクとかお砂糖が入っていれば…ですけど」


「ぷっ。やっぱりな」


「何で笑うんですか?」


「子供っぽい所あるなーって」


「子供って、桜井さんは28歳で私と3つしか変わらないんですよ!?」


「そうやってムキになるところとか、子供っぽい。いや、可愛いかな」


ハニカム笑顔で言われて、不覚にもキュンっとしてしまい、テーブルに顔を伏せる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る