第30話

「普通に綺麗にしてんだなー」


「あまり見ないでいただくと、ありがたいんですけど…というかそこに座っててください!

すぐに支度するので!!」


私は百瀬さんの腕を引っ張ってソファに座らせる。

その後すぐに洗濯機が終わった音が鳴って洗面所にいく。お風呂場の中で洗濯物を欲し終え、そのまま洗面台でメイクをする。


「お待たせしましたー」


メイクを急いで終わらせて百瀬さんのところに戻ると倒していた写真立てを見ていた。


「わー!ちょっと…」


「本当に似てんだな、俺と」


「へぇー」と言いながら写真立てをまじまじと見ている。


「もう良いですよね?」


私は百瀬さんから写真立てを回収し、元あった所に倒しておく。


「そんな事しないで飾っておけば」


「それは、ちょっと…」


「じゃあ捨てれば?」


「そんな事出来るわけないでしょ!!」


「あっ…」咄嗟に出た言葉に口を手で塞ぐ。


「じゃあ彼にも光を当てさせよう」と言って百瀬さんは、光輝と一緒に写ってる写真立てを立たせる。


「あの…」


「用意出来たんだろ?じゃあ出かけるか」


私の言葉を無視して靴を履いて外に出ていく百瀬さんを私は慌てて追いかける。


「待ってください!どこに行くんですか?」


「んー。あんた暫く休みとか外出してないでしょ?」


「え?はい…」


私の返答を聞いた百瀬さんは、意地悪そうにニヤリと笑って、


「決まりだな」

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