第27話
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「強引で自己中心的で…子供っぽくて」
「わかった。とりあえずそう聞くとろくでもない奴に聞こえるからな」
タクシーの中で、百瀬さんに彼と出会った時…一緒にいて幸せだった事を話す。
「何よりも私の事を1番に考えてくれていました。あの日…彼の最期もギリギリに私にメッセージを送ろうとしてくれてて【悪いヘマした。時間遅れても怒んなよ】って…」
あの日のことを思い出すと今も、涙が止まらない。だって光輝があのまま生きていてくれてたら、今もそばに居てくれたら…
「あんたさ、話聞いといてなんだけど。無理してその人との記憶消そうとしてね?」
「だって、思い出したら辛いだけだから…。
だって、もう…」
涙を流す私の頭をポンポンと軽く叩く百瀬さん。
「そう言うなや。あんたが全部忘れちまったら可哀想だろ。一緒にいた時間まで消しちまう必要ないだろ」
「でも…」
「増やせばいい。その人との思い出も忘れず、新しい人生で新しい思い出を増やせば、どんなに悲しくても辛くても少しずつ乗り越えていけっから」
優しい目で私を見る百瀬さん、その表情はとても安心して、懐かしくて更に涙がこぼれる。
「おー泣いとけ、泣いとけ。
俺が受け止めてやっから」
「どうして、そんなに優しくしてくれるんですか?」
「ほおっておけない、妹みたいだからかな」
「妹って…なんですか…」
何度も何度も私を慰めてくれる百瀬さんの手に安心して、私はそのまま目を閉じる。
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