第9話

私たちは出逢ったその日に二人きりで飲みあかした。



何故だか初めて会ったとは思えないほど会話が弾む。



私は知らない土地の、生まれも育ちもまったく重なる所のない女に、

私の生まれた国と私の今までの人生まで話していた。



「あなた金持ちだったの?貧相な顔してるのに」



「そうさ。

私という人間には金を持っていること以外他にこれといって特徴もない人間だ」



彼女はcobaltblueに光るcocktailを飲みほして言った。



「わたし、よく勘違いされるのよね。

わたしは寝ないわよ。今までの女がどうだったか知らないけど、

初対面の、しかも金持ちしか取り柄がないっていう男になんか」



彼女はショーパブを巡る歌い手だった。

育ちはロス。生まれはよくわからないと聞いた。

ストロベリーブロンドの髪の毛に、白く透き通った肌、すらりと伸びた手足。


私も日本人にしてはそれなりに背丈はあったが、

ハイヒールを履いた彼女と並べばほとんど同じ背丈だった。

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