第9話
私たちは出逢ったその日に二人きりで飲みあかした。
何故だか初めて会ったとは思えないほど会話が弾む。
私は知らない土地の、生まれも育ちもまったく重なる所のない女に、
私の生まれた国と私の今までの人生まで話していた。
「あなた金持ちだったの?貧相な顔してるのに」
「そうさ。
私という人間には金を持っていること以外他にこれといって特徴もない人間だ」
彼女はcobaltblueに光るcocktailを飲みほして言った。
「わたし、よく勘違いされるのよね。
わたしは寝ないわよ。今までの女がどうだったか知らないけど、
初対面の、しかも金持ちしか取り柄がないっていう男になんか」
彼女はショーパブを巡る歌い手だった。
育ちはロス。生まれはよくわからないと聞いた。
ストロベリーブロンドの髪の毛に、白く透き通った肌、すらりと伸びた手足。
私も日本人にしてはそれなりに背丈はあったが、
ハイヒールを履いた彼女と並べばほとんど同じ背丈だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます