第6話
それは彼女の前とて変わらなかったのかもしれない。
いつも私を真っ直ぐ見つめてくれていた彼女の存在を私は冒涜していた。
許されるわけもないだろう。
私は夢の中に墜ちてしまった。
彼女があの頃の笑顔で待っている夢の中へと。
初めて出会った場所はLAだった。
ショーパブでスポットライトを浴びながら寳かにjazzを歌う女が彼女。
家庭はボロボロ、
学校は途中で辞めた。
だけどわたしには歌があった。
夢があった。
今思えばまるで彼女の人生を歌っているような歌詞。
だけどあの時の私は全く興味がなく、
ショーパブを出て路地裏で一服していた。
それが彼女と私の運命が交差した瞬間だった。
ゴミ箱が転がる路地裏の暗がりから口論が聞こえてきた。
目を凝らして見ると、
先ほどショーパブの舞台で輝いていた踊り子の彼女たちだった。
「ねぇ、何とか言ったらどうなの」
「あんたさ、社長に取り入って歌わせてもらったんでしょ」
一人の女を囲み、彼女たちは罵声を浴びせていた。
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