第5話
私は、その存在だけで友人を苦しめていたことを知った。
好きで金持ちの家に生まれたわけじゃないと何度心の中で思っただろう。
家を恨んだこともあった。
まただ…
また彼女の顔が脳裏に過る。
金持ちの私に、何の偏見もなく向かった飾り気のないただ一人の運命の女。
─世界で有数の金持ちだか何だか知らないけど、わたしはあなたのことなんて微塵も気にしてないわ─
それが彼女が私と出会った頃にくれた言葉。
忘れようとしても無理なのだろう。
あんな強烈な個性を持つ女など世界中探しても他にはいない。
思い出し笑いをしていたらしい。
cabin attendantが眉を潜めてこちらを見ていた。
私は咳払いをし、漫画雑誌で顔を隠した。
いくらファーストクラスとは言え、一人ではないのだ。
私は孤独が好きだ。
例え仲間や友達と呼ぶ者がいても、
いつも自分の内面に潜む孤独を探している。
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