この味だ。
第17話
SIDE ツバキ
タツキがハンバーグを作ってる。
俺はその間マサキと一緒に話をする。
「兄貴、どうしてハンバーグなんだ」
「仕方ない話すか」とあきらめた。柾は俺がすごいと思うほどカンが鋭い。
「俺今まで一般家庭ってどんな感じかわからなくてな。子供の頃に見に行ったんだ。その時、木がいっぱいあってその木の上に登ったんだ。その家の窓から外を見てる少女がいたんだ、少女が窓を開け俺を迎え入れてくれたんだ。その少女はハンバーグを作って食わせてくれたんだ、あれはうまかった」といい、俺は思いふける。「その少女はタツキちゃんなのか」とマサキが言う。
「そうだな。多分な。これは時期をみてタツキにはいうつもりだだからお前も黙ってろよ」というとマサキが「なんて切ないんだよ」と言う。
ちょうどその時タツキが「ツバキさん、マサキさんご飯できたよ」と伝えてくる。
テーブルに並んでるご飯やみそ汁それとハンバーグと付け合わせにしてるニンジンのグラッセとマッシュポテトとブロッコリーが盛られてるお皿を見た。うまそうだと思い喉を鳴らす。
俺は「食べようか」といい手を合わす。
「いただきます」と声をそろう。
マサキがハンバーグを一口。
「これうまい」と一言笑みがこぼれる。
俺もハンバーグを食べる。一口食べた衝撃で思わず、「この味だ」といってしまいたくなるが・・・・。あっという間に口に運ばれていった。お皿をみて「よかったら私の多いから半分づつ食べて」というタツキ。
お前本当に細いなあ。食も身体も。どっか悪いんじゃないかというほど、タツキはご飯も少ししか食べない。
「うん食べれないんだもん。それより私の作ったもの食べてもらえるのがうれしい」と笑顔で言ってきた。
そっかこいついつも一人で過ごしてたって言ってたからな
食事を終わらせるとマサキは「ちょっと仕事があるから」と言って出て行った。
タツキが食器を洗ってるとき、俺はそっとお腹に手を回して後ろから立ったままタツキを抱いた。
「ツバキさん」そう俺を呼ぶ。
これからは我慢せずに痛いときは痛いって言え。苦しいときは苦しいって言え、俺はお前のそばにいるからな。
「優しいんだね。ツバキさんはありがとう。」
そういうタツキの頬に伝う涙。
それをなにもいわずに拭ってやると安心したのか。タツキは俺の胸に身を預ける。
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