第25話

私には新宿駅到着以前の記憶がない 


自分が何処から来たのか 

出身地、年齢、家族 

男か女かも分からない 


両手の平を眺めると 

爪も指紋も無く 

ブロックの様な荒いドット絵の集合体で 

室内映像の自分自身も黄色い人型のドット絵

 

顔の2つの黒い部分が目なのだろう 

 

私はこのゲーム用にプログラムされた 

テストキャラクターだった 


そして現実だと思っていた 

この世界は3D化された 

誰かが造った未完成なレトロゲームの中

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