第19話

異次元空間に迷い込むなんて 

馬鹿げた話だが 

同じ階に戻るトリック廊下なら 

先程 

広告を床に 

ばら撒いたままの階に戻るはず 

郵便受けに戻っているのは 

辻褄が合わない 


何かヒントはないかと 

両サイドのボード壁を叩いてみたり 

耳を押し当ててみるが 

静寂だけが続いている


気落ちしてそのまま崩折れかけた時  

微かな電子音が聞こえてきた

 

機敏に反応した私は 

さっきよりも強くボードに耳を押し当て 

息を殺し目をつぶった 


音はコミカルな一昔前の着信音を連想させ 

しばらく続き 

途中で着信ではないかと 

携帯を取り出したが違った 

頭を巡らせ闇を凝視してみるが 

出処が分からない 

そのうち 

また息が苦しくなってきて 

仕方なく部屋に入ると 

パソコンから鳴り響いている事に気付いた

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