第14話

数時間後  

確信を持ってた理論が 

積み重なる不安で 

崩れていった 


どれだけ階段を上っても 

景色は何も変わらない 

相変わらず 

広告の詰まった無人の部屋と 

闇を映す窓ガラス 


認めたくないが 

いよいよ 

内廊下を取り巻く空間が 

ループしているという 

SF映画と同じ環境に置かれている非現実を 

受け入れなくてはならないらしい 


全く 

頭がどうにかなりそうだ

これまで信じてきた常識が 

覆され 

習ってきた法則は 

まるで意味をなさない 


疲れ果てた私は  

深い溜め息を吐いて 

しゃがみ込み頭を垂れた 


一体 

どうしてこうなってしまったんだ?

こんな危ない 

調査アンケートなど 

参加しなければ良かった 


お願いだから 

このビルから出して欲しい! 


お腹が空いて力が出ない 

どれだけ時間が経過しただろうか? 


携帯を取り出すと 

画面に 

自然と流れた涙が落ちた 

 

迷い込んでから 

約6時間も経っている 

相変わらずネット回線は圏外

 

そういえば 

まだ電話回線は 

試していなかった


濡れた画面をスワイプすると 

ホームに

いつの間にか見知らぬアプリが 

インストールされてあった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る