第28話

「おぉっ……!」 


 カルナさんはよほど楽しいのか、わたしの隣で終始楽しそうに笑っていた。


「ありがとうございました!」


 約二十分程の公演が終わると、観客たちの盛大な拍手が、サーカスいっぱいに響きわたった。


「楽しかったですね、姫」


「はい。……なんだか子供の頃のことを、思い出しました」


 子供の頃見たサーカス団の楽しそうな演技を見て、懐かしい気持ちにもなった。


「子供の頃のこと?」


「はい。お母様とお父様と見たサーカスを思い出して、なんか懐かしくなりました」


 わたしがそう言うと、カルナさんは「そうですか。 僕もさっき、懐かしいなと思いました」と言ってくれた。


「カルナさんも、ですか?」


 わたしは再び、そう問いかける。


「はい。……僕の故郷は、ライナ王国という所なんです」


「ライナ王国……?」


 ライナ王国、聞いたことがある……。


「はい。 姫もご存知かもしれませんが、ライナ王国は昔から、レイリア王国とは仲が悪いんです」


 仲が悪い……。確か、レイリア王国とライナ王国は、昔から分断していると聞いたことがあるわ。

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