第23話

翌日、この日は日曜日だったので、貴子はジムの練習が休みだったため、街で綾香とショッピングを楽しんでいた。街中の歩道橋の昇り口の近くで、貴子たちは、春樹たちと偶然出くわすこととなった。

「ヨオッ!はるくん。保育園の方はどう?」

と、貴子は春樹に声をかけると、

「ガキら元気あり過ぎて大変だよ。」

と、春樹は答えた。

「一緒にいる人達は?」

と、貴子が聞くと、

「保育園の同僚と、同僚のカミさんと同僚のカミさんの同僚だよ。これから、ファミリーレストランへ食事に行くんだ。」

と、春樹は答えた。

「あー。そういえば、昼も近いよね。マックに行って食事しようよ。たかちゃん。」

と、綾香が言うと、

「そうしようか。綾香。」

と、貴子は言った。

「じゃあ、またな。」

と言って、貴子たちと別れた春樹たちは、ファミリーレストランの方へ足を進ませた。店の出入口の近くのテーブルに春樹たちは腰を下した。食事をしながら、春樹と彼の同僚の薫と妻のえりな、えりなの同僚の赤松麗奈が春樹に話しかけた。

「春樹君、鉄道好きだってね。私の実家のある京都の方に、梅小路蒸気機関車館があることは知ってる?」

「あー。知ってるで。戦前に活躍していた古い蒸気機関車があったりするところだろ。」

「私のお父さんも大の鉄道好きで、昨年、定年退職するまでJR西日本で車掌をしていたんだよ。」

「だから、鉄道好きってワケか。」

「まあ、そういうところかな。」

春樹と麗奈の2人の鉄道話が続いている中、

「そういえば、赤松先生。あさって、野球部試合なんだよね。勝てばベスト8という大勝負。今年は、もしかしたら甲子園に行けるかもしれないなんてウワサもあるんだよね。」

と、えりなが春樹と麗奈の話の中に割って入ってきた。

「そういえば、伊本先生の奥さんが赴任している西浜学園は、くじ運良かったからね。だけど、これからが正念場だよ。強豪校が順当に勝ち上がってるし。今度の対戦相手となる光桐学院は結構強いとの話だから。」

と春樹が言うと、

「確かにそうだよな。オレの中学校時代の友達の中に野球をしていた友達がいて、そいつの行っていた高校が甲子園の地方大会でベスト4まで勝ち上がったんだよ。ベスト4では投手戦となり、相手投手と2人で奪三振ショーを演じて13個相手から三振を奪ったんだ。だけど、延長12回、2アウトまで取りながら、1本のホームランでサヨナラ負け。甲子園は幻に消えたんだ。だけど、そいつ。今はプロ野球選手として活躍しているんだ。近々、1軍に上がるかもしれないんだぜ。」

と、薫は友達のことを自慢した。

「今、その友達。どこの球団に所属しているんだ。」

と、春樹が聞くと、

「DeNAベイスターズ。あいつが1軍に上がったら、また、連絡するから。」

と、薫が答えた。

「楽しみだな。」

春樹と薫が、この日は野球談議で盛り上がった。

 真理奈の試合が行われる当日。春樹は、真理奈の試合が行われる後楽園ホールへと向かっていた。水道橋の駅で電車を降りると、偶然にも薫とバッタリと会うこととなった。

「よおっ、春樹。」

「薫先輩。ここで会うなんて偶然だよね。」

「今日、オレの友達が1軍登録されたんだぜ。今夜、東京ドームで行われる巨人戦で登板する可能性があるかもしれない。とメールが来たんだぜ。ちょうど、その頃、秋葉原にいて、えりなに連絡して、”夕飯は子供と先に食べといてくれ。”とメールを送ったんだよ。今から東京ドームに向かうんだ。春樹、オマエは後楽園ホールに行くんだろ。」

「そうだけど。すまないけど、オレ。薫先輩の友達の選手の名前、教えてほしいんだけど。」

「西原健二郎。スコアボードには西原と出る。今度、行く機会があったら、観戦に行こうぜ。」

「そうしようや。」

そんな話のやりとりがあった。

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