第29話
「ちょっと、世間話」
「ヒカル」
「とらないって、んな顔しなくても。なっちゃんはベタ惚れみたいだし?」
「知ってるよ、そんな事」
そう言ったルイは、そばにいる私を肩を引き寄せてきて。
突然、ルイの腕に抱きしめられた私は顔が赤くなるのが分かった。すごくいい香りが、体を包む。
近すぎる私の耳にルイの吐息が当たった時、緊張で少し体が震えた。
そんなルイは、先程ヒカルがさわってきた辺りの髪の1束を、手に取り。
「この髪、俺のなんだから。さわらないでくれるかな」
と、また私の頬を染める台詞を言ってくる。
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