第36話
「今日はそれも確かめたかったんだ。実際のところ、どうなの?」
私が、援交…?
「そもそも援助交際って何ですか」
「売春ってことだよ」
「それってお金を貰ってその代わりにってことですよね?私はそんなことしたことはありません」
私はお金なんて貰ってない。
貰ってるのはお母さんだもん。
「本当に?」
「信じられないなら信じてもらわなくても大丈夫です」
「いや、…うん、わかった。信じるよ。ただ一つ、条件がある」
は…?
このクソジジイ、私の話聞いてた?
信じなくても良いって言ったのに、何で信じるための条件出してくんの?
まだまだ言いたいことはあったけれど、隣で泣き続ける水口もウザくて仕方がないし早く帰りたかった私は「なんですか」とその条件に耳を傾けた。
「僕が君の家を訪問する」
「…はい?」
「水口先生は君も知っている通りもうすぐ産休に入られるし、でもだからって君のことは放っておけない」
教師…
私嫌いだなぁ、こいつら。
「先生が私のクラスの新しい担任なんですか?」
「いや、違うよ。でも君の噂のことは他の先生には言ってないから。君もあまり話されたくないだろ?学校での面談が嫌なら、僕が家に行ってちゃんとお母さんと話してみるから。君の今後のこととかも含めて、色々」
“色々”と意味深な言い方をしたこの学年主任は、うちはワケアリなんだともう確定しているようだった。
もう本当に面倒になってきた。
うちのお母さんを見ればそんな気持ちだってきっと失せるだろうし、話し合いなんてそもそも始まりもしない。
それでこいつらの気が済むならそれでいいか。
私はもう半ば諦めのような気持ちで「好きにしてください」と言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます