第11話
翌朝、私は学校に行くために八時過ぎに家を出た。
外に出た瞬間十二月の冷たい空気が一瞬で私の体をまるごと包んで、私は全身をブルッと震わせた。
家を出る前にお母さんの部屋の方を見てみれば戸は閉まっていて、お母さんの姿は確認できなかった。
でもきっといる。
いないわけがない。
行くところなんてないんだから。
あの女はきっと死ぬまであの部屋にいるんだろう。
あんな母親でも、私が「高校に行きたい」と言った時は特に何か文句を言うことはなかった。
かと言って親身になって私の将来を考えてくれるわけでもなく、「へぇ」とどこまでも他人事だった。
お母さんはどこまでもクソみたいな人生を送っているなぁと思うけれど、進学という私の希望を叶えてくれたことに対しては私は感謝をすべきなんだろうか。
だってきっと私の授業料は交尾合戦で得たお金で支払われているんだし。
この制服だって、そのお金。
それを何とも思わずに毎日着ている私も、十分バカな女だと思う。
蛙の子は蛙ってやつ?
瓜の蔓に茄子はならぬ?
狐の子は面白?
まぁつまり、バカからはバカしか生まれないってことだね。
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