第7話
「すみませ…」
私はゆっくり起き上がると、俯いてそう言葉を吐いた。
「邪魔すんじゃねぇよ!!誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ、クソガキ!!!」
そう言って、その男は私の俯いた頭をバシッと叩いた。
痛い…
触んじゃねぇよ、クソ豚野郎が……
「……」
私が何も言わずに俯いていると、目の前のその男は大きな舌打ちをしながら私の部屋から出て行った。
———バンッ!
乱暴に閉められた私の部屋の戸は、柱に跳ね返って十五センチくらい開いていた。
「…あっ…あっ…あぁっ…」
すぐに隣の部屋からまたお母さんの甘い女の声が聞こえてきた。
何十回、何百回と繰り返されているであろうお母さんのその行為は、未だにそんなに感じることができるんだね。
多少の演技も入ってるのかもしれないけれど。
感度抜群だこと。
「……」
私はもう耳を塞がずに、真後ろの壁にもたれて両膝を抱えた。
“誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ”、だって。
笑わせんなよ、クソ豚野郎。
俺のおかげだろう、とでも言いたいの?
残念だけど、お母さんはあんた以外の男からも体と引き換えにお金を貰ってるよ?
だから誰のおかげかと言われると、それはこの部屋に出入りするいろんな男みんなのおかげだと思うけど。
いや、そもそも感謝するべきなのは、体を張ってくれているお母さんの方か?
大バカ者の元少女。
私は間違いなくその少女のお腹から出てきたんだよね。
はぁ…
こんな自分なんて糞食らえ。
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