第12話
「…てかさっきから言ってることおかしいよ、マコちゃん」
「…おかしいって?」
「たしかに私が先走ってマコちゃんがしんどくなっちゃったのが別れたい理由ならそれは分かるよ?でも、それとホノカとの浮気はどう関係があるの?」
「……」
「その私達の問題が別れたい理由だって言うなら、じゃあホノカとの関係はどう説明すんのよ!?」
「……」
黙ったということは、きっと私の言ったそれをマコちゃんも少なからず正しいと思ったんだと思う。
でもその目はやっぱり私をどこか軽蔑しているように見えた。
「分かってんの!?ホノカって私の親友だよ!?」
「親友…向こうはそうは思ってないと思うよ」
「んなこと今はどうでもいいんだよ!!今そんなこと関係ないでしょ!?」
私が一段と大きな声を出したことで、マコちゃんはまたうんざりした様子で目線を下げた。
そんなマコちゃんに、今度は私が軽蔑するような目を向けた。
ホノカがマコちゃんに私のことを何と言っていたのかは分からない。
親友の定義って何なんだろう。
これでももうホノカとは十年の付き合いになるし、それなりにお互いのことは話してきたつもりだったんだけどな。
「…てか、二人っていつからそうだったの?」
もうマコちゃんが以前可愛いと言ってくれた“可愛いカヤ”はどこにもいない。
私からマコちゃんへ向けてこんな低い声が出るなんて、この私ですらも知らなかったことだ。
「…一年くらい前」
「はっ…長っ!」
想像以上の長さに、私は思わず鼻で笑ってしまった。
それはさすがに一度の過ちとは言えないな。
「……いつくらいになるかな」
ポツリと呟くように言葉を発したマコちゃんに、私は依然低い声で「何が」と言葉を返した。
「だから、出て行くの」
コイツっ…まだ言うか…!!
「行くとこないなら俺がしばらく家空けようか。当てならあるし、そ」
「お気遣いどうも、でもご心配なく!!私が今すぐ出て行くから…!!!」
それだけ言ってマコちゃんに近付いた私の足音は、わざとらしくドンッドンッと床を蹴るようなものになってしまった。
近付いた私にマコちゃんはゆっくりこちらを見上げたけれど、私は目を合わせないようにマコちゃんの背後にある自分の財布を掴んですぐに背を向けた。
視界の隅でも分かった。
マコちゃんはやっぱり冷静なままだ。
財布と携帯を手に持った私は、途中で小さなショルダーバッグを乱暴に掴んでそのまま玄関を目指した。
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