第39話

39


コーヒーを一本、サイダーを無駄に一本手に部屋へ帰る。

瑞季は俺に振り返って

「何?最近サイダーにハマってんの?」

と呟いた。

俺は手にしたサイダーをジッと見つめてヘラっと笑って誤魔化した。

瑞季に口移しでサイダーを飲ませた事を思い出す。

あの後、甘いのは嫌いって言って…それから…俺のキスは好きって言った。

急に胸がキュンとして、瑞季の顎を掬いキスをした。

うっとり絡める舌。

離れて行く時の甘い表情。

『好きって言ってみ?』

顎に掛けた指を唇に移動させてなぞってみる。

瑞季はニヤリと笑うと

「言ってみ?」

とおうむ返しして来た。

その表情にゾクゾクッと背筋が波打つ。


結局俺はおまえの物。

俺はきっとおまえに勝てない。

目を閉じて唇を重ねたまま囁いた。


『好きだ…大好きだ。』


瑞季の華奢な手が俺の髪を撫でる。

満足そうに微笑んだ瑞季。


松木…運命は


ちゃんとここに、あるんだよ。

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