第36話
36
瑞季は何も言わない。
ただ俺に身体も預けない。
腕の中に居るのに…一人で立っていた。
瑞季が信じてるのは俺一人。
悪戯にこんな事で信用を失って良いわけないだろ!!
俺は少し屈んで、俯く瑞季を覗きこんだ。
『…確かに松木、俺に言い寄って来た。けど、アイツ……いや、アイツの事はいい。俺はっ!…おまえが誰より大切だから。おまえが泣いて良いわけないんだ、瑞季…こっち向いて…』
「…ゃ…だ…」
『瑞季』
「ャダ…」
『…こっち…向いて』
顔をゆっくり上げた瑞季はポロポロと粒になった涙を止められないでいる。
『瑞季…好きだよ。…瑞季…大好き。』
頰を伝う涙を唇で掬う。
瑞季が嫌々って顔を背けようとする。
俺はそれを出来るだけ優しく捕らえて唇を塞ぐ。
「んっ…ゃめ…」
『やめない…瑞季…』
「バ…カやろぅ…」
『おまえさ…何でそんな可愛いの?本当……瑞季が悪いからな』
俺は頭をガシガシ掻いて溜息を落とした。
それからすぐに、瑞季を横抱きにした。
「ぅわぁっ!ちょっ!よせっ!」
そのまま瑞季のベッドに下ろして組み敷く。
『もう…無理…』
ハンガーに掛かった臙脂色のネクタイを引っ張り手にした。
ソッと瑞季の目を覆い隠して結ぶ。
『俺が嫌なら…見ないでいいから』
「ぅ…ぅゔ…ぁっ…んぅっ…ゃ…めろっ…孝也っ…!」
首筋を舐めながら下りて、鎖骨に歯を立てる。
口に指を差し込んで舌に絡めて口内も犯していく。
「ぅ…ふぅっ…ぅ…」
目隠しされたせいか、小刻みに震える瑞季の身体は敏感になっていた。
次に来る刺激が分からないせいなのか…。
シャツをたくし上げて小さな尖りに齧りつくと、高い抑えきらない声が上がる。
「はぁっん!…孝っ…ぁっんぅっ…」
そのまま、ゆっくり下着の中に手を入れた。
反り勃った熱を無視して、後ろに触れる。
「はぁっ…はぁっ…孝也っ!こ…れ…」
『何?…』
「はず…せっ…はぁっ」
『……いいよ。外してやる…今、誰とヤッてんのか…ちゃんと見て』
シュルっと結び目を引き、ネクタイを解いた。
長い睫毛…ゆっくり開く淡い茶色の瞳。
俺を睨み付けて襟元に掴み掛かかってくると、見つめあったまま…
唇を重ねた。
あぁ…好きだなぁ…ほんと…好きだ。
「んぅっ…ふっ…ハァ…」
『俺…おまえしかいらない…』
ゆっくり膝裏に手を掛けて脚を開かせる。
身体を犯されるのは瑞季なのに、まるで俺を征服するような視線で見下ろしてくる。
俺は喉を鳴らして、首筋に噛みつきながら…
身体を沈め
ゆっくり貫いた。
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