第31話

私の学校生活はというと、始業式だったあの日の翌日から授業は平常通り毎日六限まであって、そのうち週二日は七限もある。



これをイジメと言っていいのかは謎だけれど、私に対するあれこれは中学に比べて高校はとにかく陰湿だった。



教室の至る所からラインの通知を知らせるあの特有の効果音が聞こえたかと思うと、各々が携帯を見てからこちらを見る。


私のいないグループラインで誰かが私についての何かをリアルタイムで罵ったりしたのだろう。


私の知る限り、クスクスと笑う声はすべて女子のものだった。


男子のこちらを見る目はいやらしく感じた。



そんなのが頻繁にあって、新学期になって二週間が経つ頃には授業以外はフラフラと適当に校舎を散歩するというよく分からない日課ができてしまった。


居心地の良さそうなどこか特定の場所を見つけるのも悪くはないけれど、誰かに見つかればきっとまた新たに嫌な思いをすることになる。



とはいえ、ひたすら歩くだけでもそれなりに嫌な思いはした。


違うクラスの同級生や先輩など、もう色んな人にすれ違いざま散々なことを言われた。


それに私が何かしら反応をすれば笑われる。


反応しなくても笑われる。



私を見て笑う人達は本当に楽しそうで、私はそれを見て他人事のように愉快で何よりだなと思った。



そんなある日、私は放課後担任の先生に呼び出された。


「悪いなぁ、急に呼び出して」


「いえ、それは全然…私掃除当番でもなかったし」


「おう、だな。先生お前にちょっと聞いておきたいことがあって…」


職員室の自分の席に座る担任は、バツが悪そうにそう言うと少しキョロキョロと周りを見てから「うん、よし」と言ってすぐに立ち上がり私の左肩をトントンと叩いた。


「隣の部屋に移動しようか」


「……」


隣…?


「こっち」と促されるままに担任の後ろをついていけば、職員室の隣には資料室のような小さな部屋があった。

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