第33話
それからすぐに私の乗る電車が入ってきて、私はそれに乗った。
電車に乗ると、私はすぐに外していた眼鏡をまたかけた。
夕方ということもあり人が多くて、ドアが閉まれば電車の中はさらにジメジメ度が増した気がした。
天気のせいもあってか、まだ六時頃だというのに外はもうかなり暗い。
梅雨なんて大っ嫌いだ。
自分でも嫌になるくらいにはっきりと分かる。
私、めちゃくちゃ落ち込んでる…
ドアの前に立っていた私がふと目の前の窓に目をやると、ガラス越しでも分かるくらいに地味な女がそこにはいた。
本っ当に地味だな、私…
朝から一度も化粧直ししてないからファンデーションもヨレヨレだし、服装だってデニムのパンツにパーカー羽織ってるだけで相変わらずだし。
安藤さんもよくこんな女の隣歩けたよなぁ。
せめて黒じゃなくてもっと明るい色のパーカーにすれば良かったかな…
ピンクとか、黄色とか…
それから眼鏡じゃなくてコンタクトで…
…いやいや、だから私の問題はそこじゃないんだってば…
電車はいつも通り何の問題もなく私を家の最寄駅へと運んでくれた。
安藤さんの言っていた通りそれからはまたひたすら天気の悪い日が続いた。
雨のせいかは分からないけれど、私はあの日見たニシヤマくんと綺麗な女性の姿が頭から離れなかった。
天気が良くなれば忘れられるのか。
あの駅を使わなければ忘れられるのか。
その答えは私自身にもよく分からない。
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