第32話
女の人と一緒にいるだけならまだしも、何あれ。
壁に手をついてあの女性に自ら歩み寄ってるあの感じ、何なの?
…あぁ、それか。
今までも女の人が隣にいるところは何度も見たことがあるのにここまで嫉妬しなかったのは、いつも女の人の方がニシヤマくんに歩み寄っているような雰囲気だったからだ。
土手沿いに座る彼の隣だとか、高校生の時の彼を呼び出す女の子だとか、“カスミ”さんだって彼女だけどいつも“カスミ”さんがニシヤマくんのところへ行っていた。
だから勝手に都合よく考えてた。
実はそこまでニシヤマくんは“カスミ”さんのことが好きじゃないんじゃないかなって。
本当に余計なお世話だなぁ、私。
透明人間がよくもまぁそんなこと思えたよね。
あの時のニシヤマくんと“カスミ”さんのことはよく分からないけれど、でも今さっき見たあの光景は間違いない。
ニシヤマくんは今の女性に自ら歩み寄っていた。
ホームの中で電車を待っているといろんな人の濡れた靴の足音がキュッキュッと聞こえて、空気は少しジメジメしていた。
病んできたな…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます