第11話
「いや、でも…」
「それに誰も見てないってことないでしょ?安藤さんはナナミ狙いじゃん」
「……」
安藤さん…
この大きな会社の商品開発部というところにいるらしいその人は、よくうちの店に顔を出して声をかけてくれる。
でも安藤さんもまた、私とは全く違う世界の人だ。
明るいし仕事できるって感じだし人に慕われてそうだし、この建物にいても何も違和感なんてない。
優しくて良い人だとは思う。
でも、ニシヤマくんほどの惹かれる何かがあるわけじゃない。
私がそんな偉そうなことを言える立場ではないんだけど…
なんで私はあの今となってはみすぼらしい格好のニシヤマくんにすらも心惹かれてしまうんだろう。
ていうか、ホームレスでパソコンって一体何者———…
「ほら早く!行った行った!」
「いやでも安藤さんも来るかどうか分かんな」
「念には念をっ!!」
ユマちゃんは私の言葉を遮ると、半ば強引に私を店のキッチンから追い出した。
…まぁいいか。
一応最低限の化粧品はバッグに入ってるし。
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