第32話

「ちょっと、私のほうが立場上なんだけど!」




担がれながら文句を言う私は、周りの人に注目されている。




これ以上私の言うことに応じるつもりはないらしく、榊は私がどれだけ文句を言っても無視し続けた。





職質に会ったら、こいつのことを絶対に、「不審者です!誘拐犯です!!!!」って言ってやろうと思ったけど、残念ながら職質には会わずに車まで付いてしまった。




「ねえ、榊」



車の中で、話しかけても、洋楽をガンガンにかけてタバコを吸っている榊は応答してくれない。




「ちょっと、榊、あんたなんで私の場所分かったの?」




「うるせえなあ・・・そんなの決まってるだろ。GP・・・あ・・・」




・・・・・こいつ、GPSって言おうとしたか?





「え?位置情報ばれてるの???なんで???ねえなんで???え・・・もしかして・・・私の脳内に埋め込んでるの?」




憐れなものを見るような顔で私を見る榊は何も言わなかった。




「やっぱり埋め込んでるんだあああああああ!!!」




私は本気で気が付いていなかった。スマホに位置情報が分かるアプリを入れられているだけということに。

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