不信

第31話

『封印を解いたのはお前か?』




男はそう言った。



しかし、それは私の空耳かもしれない。



私はポカーンと口を開けたまま座り込んでいた。




「あの、あなたは…………私を助けてくれたの?」




期待した言葉は返ってこなかった。




「はっ?」




何言ってんの?みたいな顔してる。



何言ってんの?って言いたいのはこっちの方。



なんて間抜けな顔をしてるのだろう。



なんとか言いなさいよ。




「じゃあ、なんで私を助けたの??あなたが妖怪をやっつけたのよね??」




首を傾げながら聞いた。




「助けたつもりないぜ」



「はっ?」




何言ってんの、この人。



私はしっかりこの目で見たんだけど。



鳥みたいなコスプレをして一瞬で妖怪たちをやっつけたじゃないの。



どうやっつけたかは知らないけど。

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