赤本を開く時

第26話

「おにい…………私ね」



「だからっ、その名でよぶ…………」



「たとえ、本当の家族じゃないとしても私にとってはお父さんはお父さんで、お母さんはお母さんでおにいはおにいなんだよ。だからニセモノの家族だなんて言わないで。悲しいよ…………」




私は涙をこぼした。




「おにいは血が繋がっていないって知っていてもお母さんたちは私を娘のように愛してくれた。昨日のおにいだって私を妹のように接してくれたよね?おにいの言葉、全部嘘だったの?」



「………………」



「答えたくないよね。おにいは私がお母さんたちを殺したと思ってるんだもんね。私は疫病神なんだもんね」



「………………!」



「だけどね、私は絶対にお母さんたちを殺したりなんか絶対にしない」





私はフラッと家を出てしまった。



裸足のまま返り血を浴びた制服のまま。

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