第32話

私とは違うのかも知れない。





そう感じてしまった。





「そうなんだ…可愛いの?声が…可愛らしかったから。」私は少し声に詰まりながら聞いた。




「可愛い子だよ。年は2個下でいかにもお嬢様っぽい。」と、彼は答えた。





「りゅうってさ、なんで、私と一緒に来てくれたの?」彼が今の生活にどんな不満があったんだろう。





もしかしたら、不満なんてなかったのかも知れない。





私が連れ回しているだけなのかも知れない。





そう思った。





「忘れられなかったから。みなみが。何もできなかった自分が許せなかったから。」





あぁ、そっか。





そうだったんだね。




私はあの時は楽しかった。そして今という現実から逃げ出したかった。





でも君は、今はそれなりに楽しくしていて、あの時に縛られていたんだ。





私はずっとりゅうを縛っていたんだ。

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