第31話

私はすぐに電話を切ると机に裏向けた。




「今のって…」彼女……はいないって言ってたし…





ちょうどお風呂から出てきた彼と目が合い少しだけびっくりした。





「どうかした?」いつも通りの彼に「まりあって誰?電話出ちゃった。声は出してないよ。」と聞いてみた。




彼は表情も変えず「あー、婚約者だよ。」と答えた。





「恋人はいないんじゃなかったの?」と聞くと「まぁ、親の決めた相手だからね。利害が一致しただけの関係。」と言い携帯を確認していた。





「彼女のこと…好き?」そう聞くと「まぁ、嫌いではないよ。」と彼は答えた。





「みなみと再会しなかったら普通に結婚していたと思うし、関係は割と良好だったからね。」





彼と私は同じ気持ちの中で生きていると思っていた。

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