第27話
電話の音で目が覚めた。
着信が鳴っているのは私のもので、目を擦りながら電話に出た。
りゅうを起こすと悪いからバルコニーに出てみたけど、寒くて少しだけ震えた。
「なに?」私が出ると相手は『ねえ、どう言うこと?』と聞いてきた。
「だから何がよ。もう五条さんから離婚の連絡いったの?」私が居なくなったからって、すぐに連絡をするタイプだとは思わなかった。
でも、電話の相手は『何言ってるの?お金のことだけど。私の口座にすごい額が振り込まれてたの。……ねぇ、お姉ちゃんどこで何してるの?離婚って何?』彼女は困惑したように聞いてきた。
「離婚したの。あんたの口座にお金が入ってたなんて知らないわよ。好きに使えばいいんじゃないの?私には関係ないから。」そう言うと電話を切った。
五条さんは何を考えているんだろう。
妹にお金を送る意味がわからなかった。そもそもあの人は経営に関わっているわけではない。
出資してくれているのは今の社長。彼の兄だ。
だから直接私の家族と連絡を取り合っているのは彼ではない筈なのに……
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