第26話

私は彼の上から降りると隣に寝転がった。「みなみ髪濡れてる。」そう言って起き上がるとドライヤーを持ってきた。




「私ドライヤーって嫌い。うるさいしめんどくさい。」そう言いながらうつ伏せになると「みなみ、座って。乾かしてあげるから。」と彼は言った。




仕方なく座ると彼は優しく私の髪に触れた。




「さらっさらだね。」ドライヤーの音と彼の声が聞こえる。「りゅうには負けるよ」と言うと彼は笑った。





人に乾かしてもらうのは気持ちがいい。今までだって乾かしてもらったことはある。身体の関係なんていくつもあったし、乾かしたがる人もいた。





でも、りゅうの手は優しくてうるさくて嫌いだったドライヤーの時間が少しだけ好きになったような気がした。





「はい、終わり。」りゅうはそう言うとドライヤーを仕舞いに行った。





ベッドに寝転がりながらぼーっとしているとりゅうはすぐに帰ってきて隣のベッドに腰掛けた。





そんな彼を見ながら私はいつの間にか眠ってしまった。

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