第25話

宿に帰り外を見る。





観光客が窓から見え、賑わっている。





りゅうはお風呂に入っている。私はシャワーの音を聞きながらタバコを吸った。





携帯に着信はない。





離婚届は出したのだろうか。なんとなくそんなことが気になった。





「何見てるの?」りゅうがお風呂から出てきたみたいで、私に話しかけてきた。






「人を見てる。たのしそうだなーって。」タバコを深く吸った。






月はムカつくくらい明るくて赤く見えた。





「みなみは、あんな風になりたかったの?」そう言われてりゅうを見た。「分からない。」





嫌なことは嫌。






でも何が正解かなんて分からないし、正解が見つけられるほど私は大人ではないのかもしれない。






「ねえ…」私はタバコの火を消し彼の手を引いた。





布団に押し倒すと馬乗りになった。





「みなみのえっちー」柄にもそんなことを言った彼の首に手をなぞるように置いた。





彼はくすぐったそうに首をすくめた。





「しめてみてもいい?」と、聞くと彼は笑って頷いた。





少しだけ力を入れると彼は少しだけ顔を顰めた。





少しして手を離す。「急にどうしたの?」と彼は私を見上げながらまだ少し濡れている私の髪に触れた。






「気分よ…いつでも殺せるように。練習を込めて。」

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