第5話

部屋にタバコの匂いがついても彼は怒らないし、何も言わない。





彼は五条優馬。私より10歳年上で35だ。どこで鍛えているのかは知らないががっしりとした体つき。仕事は在宅でデザイン系の仕事をしている。





高校を卒業してから一緒に暮らしているが知っているのはこのくらいだ。





私はため息をつくとタバコの火を消した。なんだかダラダラする気分でと無くなり私は出かけることにした。





着替えて部屋を出ると、彼が「どこにいくの?」と聞いてきた。




「どこでもいいでしょう?」と答えると、笑いながら私に近づき首筋を強く吸った。





「やめてよ」私が顔を顰めて言うと、やっぱり彼は笑っていた。性格の悪いやつだ。





呆れてカバンを持ち直すと私は家を出た。





彼は相変わらず飄々とした感じで笑いながら手を振って私を見送った。

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