第35話

「世那が初めてだったのか?」


私を見下ろす蛇のような目の鋭さ。ゆっくりと撫でるように、私の中で動く指。


違和感しかないその指に不快感を感じながらも、小さく頷き。



「そうか」


低く呟いた煌は、1本の指だけを使い、何かを探る動きをして。ある部分に触れた時、ビクっと動いた私を煌は見逃さなかった。


そこを指でゆっくりこすり、感じたことも無い刺激に私は目を見開いた。



「や、そこ、やめ⋯!」


抵抗するために体を動かそうとすれば、ズキズキと痛む手首を握りしめられる。



痛みと、このよく分からない刺激に、どうにかなりそうだった。



「お前、気に入ったし教えてやる」


「やっ、あっ⋯」



教える?何を?



「クセになる抱き方」



クセになる?

そんなのっ⋯

なるわけないのに。



「ああっ⋯」



私の中がジワッと濡れていく感覚がして、私は首をふる。


無理っ、ほんと無理っ!こんなのっ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る