第12話

本当に、何が何だか分からなかった。

目を覚ますと、見慣れない景色に体が震えた。起き上がろうとすれば、下腹部に激痛が走り、私はお腹を押さえた。

そうすれば手首にも激痛が走り、目を覚ましたばかりだというのに涙が出てきて。


どうしてこうなってしまったのか分からない。頭をフル回転させても、答えは出てくれない。



私が眠っていたらしいこのソファ。嫌でもよみがえってくる気持ち悪い記憶。ウッ⋯と、吐きそうになったのを必死に堪えた。


焦げ茶色のソファ、吸い終わった煙草が入った灰皿が置きっぱなしのガラステーブル。


散らばった漫画や雑誌。

古びた扉⋯。

鉄格子がハメられている窓。



誰もいないうちに逃げないと―――本能的にそう思った。痛む下腹部と手首をかばい起き上がり、たったひとつしか無い出口である扉へと向かう。


痛みのない手の方で扉の取手へ触れようとした時、私はゾワリと背中に悪寒が走った。


開けてはならない。


第六感が、そう忠告していて。

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