第26話

「そっか。一ノ瀬は広告の仕事してるんだ。大変そうだけど…」


「やりがいはあるよ」


「そっか。一ノ瀬さん…結婚してるんだ」



服部くんは何だか声の音が下がる。



「あ、うん。服部くんは?」


「今はフリーかな。恋愛には向かないみたいだよ。結婚間近に逃げられたよ」



重い……ことを聞いてしまった。



「一ノ瀬さんは幸せ?」


「え、」


「幸せならいいんだ。一ノ瀬さんすごく綺麗だから俺ならほっとかないなと思って」



え、、服部くんはどういうつもりだろう。



幸せってなんだろう。


指輪を擦った。




服部くんのスーツからスマホが震える。



「あ、仕事の呼び出しだ」


「忙しいんだね。私のことは気にしないで」



「一ノ瀬さん、これ」



服部くんに紙切れを渡された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る