第25話

「ううん、大丈夫。」




涙の跡は、ナンパのせいではない。




日向のことで泣いたものだ。





彼は、優しく私の頭を撫でる。金髪で中性的な彼の目は少し目つきが悪い。




「送ってく。」彼はそう言った。




「大丈夫だよ。」そう言っても首を振って、許してくれない。




私は諦めて「ありがとう。」と言って送ってもらうことにした。





帰り道、私たちは特に話すことはなかった。




人に優しくしてもらったのはいつぶりだろうか。





家に着くと、彼は「じゃあ。」といい、来た道を帰っていった。





「ありがとう。」というと、「別に。」と言っていた。




家に帰ると、ガシャンと何かが割れるような音がした。

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